パニック障害とうつ病~寛解者の体験記~

パニック障害からうつ病発症、そして寛解から現在まで…。「うつ抜け」成功者サトが自らを振り返り色々書いていきます。

検査をしても異常なし

救急車で病院に運ばれた私。

病院に到着しても、しばらく心臓発作のような
激しい症状が続いた。

パルスオキシメーター(血中酸素)や心電図をつけられ血圧などのバイタルをチェックされるが

血中酸素・血圧・心電図の波形ともに異常なし。

「ただの頻脈です」と
言われた。

看護師さんたちも深刻な様子はなく、
気楽そうにしていた。

やっとしゃべれる状態にまでなったころに
心臓の病気があるのでは?と訴えたが
それならば心電図に何かしらの異常があるはずと言われ、
鎮静剤を注射され
その日は帰された。

真夜中に起きて寝不足のはずなのに
帰ってからも寝れず、


「またあの発作が来たら今度こそ死んでしまう」


そんな漠然とした不安に涙が止まらなくなり
誰かにそばにいてほしくて
その日は夫の実家にかくまってもらった。


数日後、私は救急搬送された病院と、もうひとつの総合病院で循環器系を中心に検査を受けた。

自分も元看護師であるため、
「何か重大な病気が隠れてるはず、早期治療しないと!」と必死だった。

心エコー、血液検査、胸部レントゲン、
心電図、甲状腺検査(甲状腺の持病があるため)

どれも正常範囲で至って健康だとのこと。

それでも私はドクターに食い下がり
「最近太ってきたから心臓に負担がかかったのかもしれません!」
などと訴えたが

「29歳という若さでそれはまず考えにくいし、心肥大も起きてません」

「どちらかというと精神的なものかも知れないので、精神科や心療内科にかかってみてください」

と言われてしまった。


そんなバカな。
私はストレスなんか無いし
仕事に行きたくないとか死にたいなんて
微塵も思っていないのに!

好きな人と結婚して、好きな仕事をムリない程度にやってるだけだ。

身体の症状を何とかしたいだけなのに。



当時の私はメンタル疾患で身体的な症状が出るなど知らなかった。

いや、知ってはいた。
そういえば看護学校の教科書に書いてあったっけ?

でも、起死念慮や妄想などのイメージしかなかった。


まさか私が……?


ネットで
精神的原因 心臓発作
と検索すると

発見した

パニック障害

の文字


それを見てやっと
精神科受診に踏み切った

突然の発症

 

あれはたしか

2014年3月末頃だった。

結婚して3年経とうとしていた。

 

私は夫の横で寝ていた。

夜中3時ごろに目が覚め、トイレに行った。

用を足し、手を洗い、ベッドに戻る。

 

横になって布団をかぶり、再び寝ようとするが、

なんだか息がしにくい気がする。

うまく呼吸ができない。

 

まだ3月で夜中は寒いため、

身体が冷えたのだろう…。

そう思って身体を丸め、

呼吸を整えようとした。

 

けれど一向に整わず、

呼吸は浅く速くなるばかり。

 

「あれ?過呼吸かな?」

 

私は若い頃から突発的ストレスや

感情がコントロールできない時などに

過呼吸を起こすことがあった。

 

けれど今回はトイレに起きただけ。

何かがおかしいと感じた。

 

呼吸を整えようと必死だった。

しかし必死になればなるほど

呼吸は浅くなり

 

ついには激しい動悸が襲った

 

脈が速い

心臓が苦しい

何か重たいもので胸を押されてるようだった

 

終いには、

手足や唇がしびれ

吐き気が襲い

視界が円く、くり抜かれたように

狭くなった。

 

さすがに怖くなった。

 

このまま意識を失う前に…!

そう思い必死で

寝てる夫をなんとか叩き起こした。

 

夫、飛び起き、慌てる。

楽観的で鈍感な夫も

ただ事ではないと感じたのだろう。

 

救急車呼ぶ。

 

救急車を待っている間も

どんどん苦しくなり

どんどん息が出来なくなり

どんどん視界が狭くなる

 

死ぬのではないかと思った。

 

もしかしたらこれが最期かも?と

本気で思い、

やっとこさ絞り出すような声で

夫に告げる

 

「愛してるよ。今までありがとう。」

 

その時の夫の焦り具合といったら

大変なものだった。

多分人生で一番焦った日だったのでは

ないだろうか。

 

到着した救急車に乗せられる私……

 

 

こうして私は

パニック障害、そしてうつ病の扉を

開いてしまうのである。